庭のハナミズキやドウダンの葉もすっかり紅葉しました
朝晩の冷え込みも急に厳しくなり、皆さん体調を崩していらっしゃいませんでしょうか?
かく言う私も、のど痛から始まり咳が止まらず、ひどいガラガラ声になってしまいました
電話口でお聞き苦しい声で対応させていただいたこともあり、大変失礼いたしました
さて今回はお着物の丸染めのご紹介をいたします
丸染めは字のごとく、着物のまま、ほどかずに丸ごと染色液に漬け込んで染めることです
ですから、裏地の胴裏も八掛も全部、表の生地と同じ色に染まってしまいます
体型が変わらず寸法直しをする必要のない方で、一番時間もかからず、さらに価格も安価にすむ染め方となります
今回のお着物は白地に墨絵のような柄に赤い花が描かれた訪問着でした
若い頃に良く着られたようですが、年を重ねて少し赤い花の色が気になるようになったため、色替えのご相談にいらっしゃいました
ご希望は地味な地色に変え、花の色も地味にするという事でした
この訪問着は柄の部分に、ぼかしの加工があり、赤い花の数もたくさんあり、それを手染めで色変えするのは大変手間で価格も随分かかることがわかりました。
そこで染屋さんの提案で、丸染めをすすめられました
全体を地味な色で染めることで、自然に花も落ち着いた色になるだろうと…
出来上がりは、染めてみてからのお楽しみ…という半分賭けのようなドキドキもあります
その結果、このように染まりました
写真では実物より薄い地色に見えますが、青みがかったグレーで見事に染まりました
赤い花もグレーの色が重なったことで、とても落ち着いた色になり、お客様からも満足のお声をいただきました
ピンクの八掛もグレーに変わりましたが、元の色が少し反応して、うっすら赤味を帯びたグレーがまた良いあんばいに感じました
だいたい1ヵ月ほどで染まりました
お納めした1週間後の結婚式に間に合ってとてもよかったです
今回は地色が薄かったので、そのままご希望の色を重ねて染めるだけで済みました
もし地色が濃いお着物の場合は、一度色抜きをしてからでないと、ご希望の色に染めることは難しいと思います
その際は着物ごと色抜きをすることもできます(丸色抜き)
また、体形が変わって寸法が合わない、色も派手になったという場合には、着物をほどいて、表生地と八掛生地を染め直し、新たに今の自分の寸法に仕立て直すこともできます
お着物はほどいて元の反物のように戻せば、染め変えたり、作り替えたりすることができます
「もう着れない」
とあきらめずお直しして着てみませんか?
お母様がお嫁入りの際にご準備してくださったお着物を1回でも多く着ていただきたいものです